編集部
プライムコートとタックコート、名前も役割も似ていて、散布量や乳剤の数字までごちゃごちゃになりませんか?どの層の上に、何のために塗るのかで分けると一気に整理できます。
この記事の要点
プライムコートとタックコートは、塗る場所・目的・使う乳剤・散布量が違います。塗る場所で見分けるのが一番速く、プライムコートは路盤の上、タックコートはアスファルト層の間に塗ります。
下の比較表とアスファルト舗装の断面図で位置関係をつかみ、過去問のひっかけまで押さえます。
アスファルト舗装は、何層もの層を重ねて造ります。層と層がはがれないようにのり付けする役割を持つのが、プライムコートとタックコートです。
プライムコートは、路盤の仕上がり面に散布して、その上に舗設するアスファルト混合物層となじみをよくする乳剤です。
タックコートは、すでに造られたアスファルト層(基層など)と、新しく舗設する層を接着させる乳剤です。
決定的な違いは、くっつける相手です。プライムコートは「路盤」と「アスファルト層」、タックコートは「アスファルト層」どうしを接着します。
土でできた路盤の上に最初に塗るのがプライムコート、アスファルトの層と層のすき間に塗るのがタックコートです。塗る相手が「路盤か、アスファルトか」で覚えると混ざりません。
プライムコートは路盤の保護となじみ、タックコートは層どうしの接着が中心です。
プライムコートは、上層路盤の仕上がり面に散布します。
役割は大きく3つあります。
1つ目は、路盤とその上のアスファルト混合物層のなじみをよくすることです。
2つ目は、路盤の表面部に浸透して表面を安定させ、施工機械が通っても路盤を傷めないようにすることです。
3つ目は、路盤からの水分の蒸発を抑え、雨水が路盤にしみ込むのを防ぐことです。
使う材料は、一般にアスファルト乳剤(PK-3)です。
散布量は1?2 L/m2が標準です。あとで見るタックコートより多めの量を散布します。
タックコートは、すでにあるアスファルト系の層(基層・中間層・既設舗装など)の上に散布します。
役割は、その上に新しく舗設するアスファルト混合物層との接着をよくすることです。
下の層へ水がしみ込むのを防ぐ、防水のような働きも期待されます。
使う材料は、一般にアスファルト乳剤(PK-4)です。
ただしポーラスアスファルト混合物を舗設する場合などは、ゴム入りアスファルト乳剤(PKR-T)を使います。
散布量は0.3?0.6 L/m2(標準0.4 L/m2)です。プライムコートより少なめの量を散布します。
4つの観点で並べると、違いがはっきりします。
| 観点 | プライムコート | タックコート |
|---|---|---|
| 塗る場所 | 路盤の上(上層路盤面) | アスファルト層の上(基層・既設舗装など) |
| くっつける相手 | 路盤 ? アスファルト混合物層 | アスファルト層 ? アスファルト層 |
| おもな目的 | なじみ・路盤の保護・防水 | 層どうしの接着 |
| 使う乳剤 | アスファルト乳剤(PK-3) | アスファルト乳剤(PK-4) ※ポーラスはゴム入り(PKR-T) |
| 散布量 | 1?2 L/m2 | 0.3?0.6 L/m2 |
2つがアスファルト舗装のどこに入るかを、断面図で見ると位置関係がつかめます。
図のとおり、プライムコートは下のほう(路盤のすぐ上)、タックコートは上のほう(アスファルト層の間)に入ります。
混同しやすい用語
タックコート と シールコート
どちらも舗装の表面にアスファルト乳剤を散布するため、名前と作業が似ています。
タックコートは、これから上に層を重ねるための「接着」が目的です。シールコートは、既設のアスファルト舗装の表面を保護し、水の浸入やひび割れ・老化を防ぐ「表面処理」が目的です。上に層を重ねるか、表面で仕上げるかで使い分けます。
プライムコート と 路盤
プライムコートは路盤そのものではなく、路盤の上に塗る乳剤です。「路盤を造る工程」と「路盤の表面を仕上げる工程」を分けて考えると混乱しにくくなります。
プライムコートとタックコートは、役割や対象を入れ替えた選択肢で繰り返し問われます。1級でも2級でも頻出で、引っかけは2つの役割や塗る面をすり替える型が中心です。
| 出題年度・級(問番) | 問われ方(引っかけの核心) |
|---|---|
| 平成26年度 2級後期(No.20) | プライムコート及びタックコート。プライムコートを「層との接着をよくするため」とするのは誤り(それはタックコートの役割)。散布量はプライム(PK-3)1?2 L/m2、タック(PK-4)0.3?0.6 L/m2が正しい。 |
| 平成25年度 1級(No.30) | 排水性(ポーラスアスファルト)舗装。タックコートには、普通のアスファルト乳剤ではなくゴム入りアスファルト乳剤を用いる。 |
| 平成22年度 1級(No.28) | 下層路盤の施工。プライムコートは粒状路盤面に行う。石灰・セメント安定処理路盤面の養生を「アスファルト乳剤でプライムコート」とするのは誤り。 |
プライムコートを「アスファルト層どうしの接着」とする記述は誤りです。層どうしの接着はタックコートで、プライムコートは路盤の上に塗ってなじみ・安定・防水を担います。2つの役割や、塗る面・乳剤・散布量を入れ替えるのが引っかけの定番です。
問題:プライムコートは、アスファルト混合物層どうしの接着をよくするために散布する。(平成26年度 2級後期 No.20)
〇か×か。
答え:×
アスファルト層どうしの接着はタックコートの役割です。プライムコートは路盤とアスファルト混合物層のなじみをよくするために、路盤の上に散布します。
問題:プライムコートの散布量は、一般に1?2 L/m2である。
〇か×か。
答え:〇
プライムコートは1?2 L/m2が標準で、タックコート(0.3?0.6 L/m2)より多めに散布します。
問題:ポーラスアスファルト混合物を舗設する場合のタックコートには、ゴム入りアスファルト乳剤を用いる。
〇か×か。
答え:〇
通常のタックコートはアスファルト乳剤(PK-4)ですが、ポーラスアスファルト混合物の場合はゴム入りアスファルト乳剤(PKR-T)を用います。
プライムコートとタックコートは、くっつける相手で見分けます。
プライムコートは路盤とアスファルト層、タックコートはアスファルト層どうしを接着します。
散布量はプライムコートが1?2 L/m2で多め、タックコートが0.3?0.6 L/m2で少なめです。どちらが多いかと、接着する相手(路盤か、アスファルト層か)を正確に覚えておきます。
舗装の施工は、路盤の工法の違いや初転圧・二次転圧・仕上げ転圧の違いもあわせて確認すると、路盤から表層までの流れがつながり、得点源にしやすくなります。
参考資料
※ 散布量・乳剤の種類は標準的な値です。基準の改定により変わる場合があるため、最新の仕様書・便覧で確認してください。
※ この記事の確認日:2026年6月